簿記検定にて必出の、給与から源泉徴収した際の仕訳の仕方についてまとめました。
そもそも源泉徴収とは何なのか、どういった勘定科目を使うのかについても考察しています。
実際に経理を担当している方はもちろん、簿記検定受験予定の方もご一読ください。
Q.仕訳はどうするの?給与を源泉徴収した時の場合
どう仕訳する?
仕訳帳の記載方法がわからなくてこまっています。
1)給料を従業員に手渡しで渡そうと預金から現金を20万円おろす。
2)給料20万円から源泉徴収分(7千円とします)を引いて、残りを手取り分として従業員に渡す。
3)源泉徴収分を「預り金」としてよけておく
1)~3)で、仕訳としては
現金 200,000 普通預金 200,000
給料 200,000 現金 193,000
預り金 7,000でよいのでしょうか?
既に下ろしている
一度現金を預金から下ろしているのでかなり面倒なことになってますが。。
- 給料手渡しのために預金から現金を下ろした
- そのうちの源泉徴収分を差し引いた残りを従業員に渡した
- 源泉徴収分を「預り金」としたが、どう仕訳すればよいのか
経理を担当している人にとっては当たり前に仕訳が出来るのでしょうが、なかなか難しいですね。借方・貸方の概念に手間取ってしまいます。源泉徴収したものをどう伝票を切るのかがポイントですね。
A.回答。給与を源泉徴収した時の仕訳の仕方は…
記帳例
・ 記帳をわかりやすくするなら、
1) 預金から給与支払用の現金を20万円おろしました
現金 200,000 / 普通預金 200,000
2) 給料を20万円払いました。源泉徴収を3000円預りました。
給与 200,000 / 現金 200,000
現金 3,000 / 預り金 3,000
税金分の記帳の仕方
と言うぐあいに、本当は天引きしている税金分を、
一旦払って、改めて預ったと記載しても、結果は一緒ですよ。
- 仕訳としてはまずは借方に現金とし、貸方に普通預金を立てる
- 現金を給与とし、源泉徴収天引き分を現金から預り金に振替する
- 一旦払ったものを改めて預かったという記帳でも問題ない
どちらがシンプルか、分かりやすいかが記帳のポイントとなります。後から見て、自分も他の人もわかりやすい仕訳を心掛けましょう。この場合は一旦現金として取り分けたものを再度預り金として仕訳します。
『預かり金』について|給与を源泉徴収した時の仕訳で使う勘定科目
< 預 り 金 >
企業は、 従業員に給料を支払うときに源泉徴収 (げんせんちょうしゅう)というのを行います。
源泉徴収とは、企業が従業員に給与等の支払いをするとき、1年間の収入を予想してあらかじめその所得税額を、 毎月の給料から差し引いて支払うことをいいます。
企業は、預かった所得税を従業員に代わって税務署に納めているのです。
給料をもらうたびに、毎月本人が納税するといった仕組みでは、わずらわしいですし、たいへんな作業ですよね。
そういった意味でも源泉徴収は便利な仕組みです。
少し話がそれてしまいましたが、簿記ではこの源泉徴収で従業員から預かったお金を預り金勘定(負債の勘定) で処理します。
※預り金勘定は、給料を支払う際の源泉徴収とからめて出題されますので注意してください。
処理の例
預り金の処理は、従業員からお金を預かった時と、預り金を返したときの2つのケースがあります。
お金を預かったとき :
従業員の代わりに所得税を、税務署に納める義務が生じるので、預り金勘定の貸方(負債の増加)に記入します。従業員の給料170,000円から源泉所得税17,000円を差し引き153,000円を支払った。
借 方 貸 方
(給 料) 170,000 (預り金) 17,000
(現 金) 153,000
- 源泉徴収とは一年分の収入を予想し、先にその所得税分を毎月の給与から差し引いておくことである
- この源泉徴収されたものは「預り金勘定」で処理する
- 預り金の処理は従業員からお金を預かった時と、預り金を返金した時の2ケースがある
簿記を知らないとこのあたりの概念が難しいかもしれませんね。そもそも、従業員にすれば「源泉徴収されてた」と損をしたような気持になっていますもんね。ただ、多く払い過ぎた分は年末調整で帰ってくるので安心してくださいね。
再確認しよう!『預かり金』勘定の意味
預り金勘定の定義・意味・意義
預り金とは、役員、従業員、取引先などから一時的に預かった金銭で、後日その者に返金するか、本人または本人に代わって第三者に支払う金銭を管理するための勘定科目をいう。
預り金には、通常の取引に関連して発生する預り金で、発生後短期間に支払われるものの他、通常の取引以外の取引で発生したもので1年以内に返済されるものも含まれる。
預り金勘定の決算書における位置づけ等
貸借対照表>負債>流動負債>預り金
預り金はワン・イヤー・ルールが適用され、1年を超えるものは「長期預り金」や「預り保証金」の勘定科目で処理される。これらの科目は流動負債ではなく、固定負債である。
預り金勘定の範囲・具体例
・社会保険料預り金
役員、従業員が負担する社会保険料の預り金・税金預り金
役員、従業員に支払った給与や税理士などに支払った報酬などから源泉徴収する所得税、住民税の預り金・預り保証金
営業取引によって生じる営業保証金や入札保証金・役員従業員預り金
役員、従業員の社内預金、身元保証金などの預り金
- 預り金とは一時的に預かったものの、後日返金、もしくは第三者に代理で支払う金銭を処理するための勘定科目である
- 預り金は1年を超えると「長期預り金」等となる
- 預り金勘定の例としては「社会保険料預り金」「税金預り金」等がある
預り金は一年を超えると別の勘定科目に振替をしなければいけません。そうなると流動負債ではなく固定負債となることにも注意が必要です。短期間のものだけが「預り金」という科目で処理されるのです。
仕訳の仕方について|『預かり金』を税務署に収める場合
「預り金」の処理の仕方
事前に給料より天引きしていた源泉徴収税を納付する時の仕訳。
源泉徴収税など、従業員さんに給料を支払った後で
会社や店が代わりに国へ収める税金は、給料の支払時に「預り金」勘定を使いました。
では実際に国へ納める時は?
仕訳問題
おるずの武器屋は、預り金として処理していた
源泉徴収税額2,000円を、現金で税務署に納付した。
引用元-給料から天引きしていた源泉徴収税を納付 – 攻略!日商簿記3級攻略!日商簿記3級
預り金は、負債になります。
給料支払時には、下のようになりました。
(給料) 150,000 (預り金) 2,000
(現金) 148,000これは、
「費用として給料150,000円を使った事になるが
うち2,000円は源泉徴収税なので後で支払う事になる、
だから実際に渡すのは現金148,000円のみ」
といった意味合いになります。
そして、実際に2,000円を納付する時
(預り金) 2,000 (現金) 2,000
引用元-給料から天引きしていた源泉徴収税を納付 – 攻略!日商簿記3級攻略!日商簿記3級
預り金を返したとき :
預り金を税務署に納めたときは、納める義務が消滅するため預り金勘定の借方(負債の減少) に記入します。
従業員に対する所得税17,000円を税務署に現金で納付した。
借 方 貸 方
(預り金) 17,000 (現 金) 17,000
- 天引きした源泉徴収税を一旦預り金に振替したが、その後国に納めることになった
- 預り金を税務署に収めることになると、納める義務が消滅したと考え、預り金勘定の借方に記入する
- 預り金勘定の貸方ということは負債の減少を意味する
預り金は負債であることを忘れないようにしましょう。税務署に返納すると負債が減少するという概念を頭に入れておく必要があります。預り金を現金で納めた場合は貸方を「現金」として記帳します。
仕訳問題をしてみよう☆源泉徴収の問題は簿記検定でもよく出題される!
問題①
■例■
(1)従業員が負担すべき当月分の生命保険料¥15,000を小切手を振り出して支払った。当月末にこの生命保険料は、従業員の給料から差し引くこととした。
(2)従業員への給料の支払いにあたって、給料総額\200,000のうち、先に立替払いしていた従業員の生命保険料\15,000と所得税の源泉徴収分\10,000を差し引き、残額を現金で支給した。
(3)先月の従業員給料から差し引いた所得税の源泉徴収額\10,000を、銀行において納付書とともに現金で納付した。
問題②
次の取引について仕訳を示しなさい。
1.給料日に、従業員に対する給料から所得税の源泉徴収額¥20,000を差し引き、手取金¥180,000を当座預金の口座から振り替えて従業員に支払った。
2.従業員への給料の支払いにあたって、給料総額¥400,000のうち、先に立替払いしていた従業員の生命保険料¥10,000と、所得税の源泉徴収分¥30,000を差し引き、残額を現金で支給した。
- 簿記検定でよく出る問題として、給与から生命保険料を差し引いたのち、現金で納付した例が挙げられる
- 生命保険だけではなく、源泉徴収も同じことである
- 従業員の給与から差し引いた後、第三者に納付するまでの一連の流れの仕訳が求められる
日商簿記検定3級を受けるにあたって、考えなくても仕訳出来るくらいまで練習するようにと言われます。給与から源泉徴収分を差し引き、その預かり分を税務署に納付するまでの仕訳の仕方を何度も練習しておきましょう。