血糖値上下する仕組みはインスリンの働きが関係しており、重要な鍵となっています。実際の関係性についてまとめました。
また、糖尿病とはどのような状態のことを指すのでしょうか。
糖尿病を予防するために気を付けることができる食事や運動などについても紹介しています。
インスリンと血糖値の関係は実際のところどんなものなの?
『血糖値』とは?
『血糖』とは血液中に含まれるブトウ糖のことを指し、その血液中に含まれる量を表しているのが『血糖値』です。
血糖値は食事を摂るたびに上がります。それは、食事で摂取された栄養素のうち糖質が消化酵素で分解されてブドウ糖になって小腸で吸収され、血液により全身に運搬されるからです。
ブドウ糖のうち、エネルギーとしてすぐに消費されるもの以外は、肝臓や筋肉組織等でグリコーゲンとして、さらには脂肪組織に中性脂肪として貯蔵されます。エネルギー源として、血糖が消費されて、血糖値が下がってくる(糖の代謝が良くなる)と、貯えられたグリコーゲンが分解されて、ブドウ糖をさらに血液中に放出し、血糖値を一定値以上に保つように働きます。ブドウ糖は、日常生活において重要なエネルギー源なので、血糖値を正常に保つこと(血糖コントロール)はとても大切です。日常の身体活動のエネルギー源であるブドウ糖は、食事を摂ることで補給されます。
引用元-血糖値とは|血糖値を知る|食後の血糖値が気になる方に「健茶王」
血糖コントロールの要、インスリン。
健康な人でも、食事をすれば血糖値は上がります。よくないのは、『血糖値が高い状態が続く』ことです。
インスリンには、血糖値をコントロールする働きがあります。
3大栄養素である脂質・たんぱく質・炭水化物のなかでも炭水化物(糖質)がもっとも早く消化・分解されてブドウ糖となって血液中に送り込まれ、食後30分前後をピークに、血糖値が上昇します。
ブドウ糖が血液中に送りこまれたことによって血糖値が上昇すると、ただちにすい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンの働きによって、肝臓、筋肉、脂肪組織などにブドウ糖(血糖)が取り込まれ、その結果、速やかに血糖値が下がっていきます。また、インスリンは、取り込まれたブドウ糖をグリコーゲンあるいは中性脂肪に変換してエネルギーを蓄える働きも促します。食事をした後、一時的に増加したブドウ糖(血糖)は、このようなインスリンの働きによって、体内で調節されて血糖値が低下します。
引用元-血糖値とは|血糖値を知る|食後の血糖値が気になる方に「健茶王」
- 血糖値は食事によって増えるブドウ糖により上がる
- 血糖値は食事をしてから30分ほどで高くなる
- インスリンの働きにより食後の血糖値が下がる
血糖値は食事により上がり下がりします。その理由は食物から分解されるブドウ糖の量と関係するという訳です。糖尿病とは、このブドウ糖の上がり下がりが上手に行えなくなったことが原因で発症する病気といえますね。
血糖値が上下するリサイクル、仕組みとは
POINT1 食事を摂取する
実際にどのようなサイクルで体内の血糖値が上がるのでしょうか?
お米、パン、麺類、イモ類などの炭水化物を摂取した直後に血糖値が一気に上昇する。脂質やたんぱく質は時間が経過するとともに緩やかに上昇する。このような特徴があります。
POINT2 消化・吸収
胃や腸で消化・吸収され、肝臓へ。肝臓で炭水化物はブドウ糖へ分解される。
POINT3 肝臓で分解される
吸収した栄養素を体内で利用しやすい形へと変貌させる。ここで形を変えたものが身体を作ったりエネルギー源となる。
POINT4 血液とともに全身へ
肝臓から送りだされたブドウ糖が全身へ。血液とともに全身へ送られる。その際すい臓から分泌されたインスリンが細胞や筋肉内に取り込まれてエネルギー源となる。
POINT5 インスリンを分泌
血液中のブドウ糖を細胞や筋肉に送り込む役割を持つインスリンというホルモンの効果で血糖値は下がる。2〜3時間で通常なら血糖値は元の値へ。
血糖値は時間がたつと元の値に戻るため、いかに早く元の値に戻すかが重要になります。
血糖値は食後に緩やかに上がり、インスリンの効果で正常値まで下がるという動きを繰り返す事が理想です。引用元-血糖値が上がる仕組み
- 食事によって血糖値は上昇する
- 炭水化物が消化されることでブドウ糖になる
- ブドウ糖がエネルギーのもととなる
- 血糖値はインスリンによりもとの値に戻る
血糖値はインスリンの働きにより下げることができます。糖尿病はこの血糖値の値が正常に変動しないことによって発症します。つまり、インスリンの働きが何らかの理由で悪くなっていることが原因と考えられます。
血糖値やインスリンとの関係は?糖尿病発症までのことを解説!
糖尿病の原因とは?
健康な人であれば、このような仕組みで、食べた物がしっかりと体に栄養になって、健康を維持できるんです。しかし、問題は糖尿の場合です。糖尿病の場合、こんなふうに、ブドウ糖が細胞に入って行くことができないんです。その原因は、
引用元-糖尿病発症までの仕組みを解説
次の3つの理由が考えられます。
1)インスリンの出が悪い
2)インスリンが元気がない
3)インスリン受容体の元気がない1)のインスリンの出が悪い場合は、すい臓の機能に問題があります。通常は、わたしたちが物を食べると、血糖値が上がるので、血糖値を下げるために、すい臓がインスリンを製造し、血液中にインスリンを分泌します。体は元々そのような仕組みになっているんですね。
しかし、すい臓の機能が弱っていると、すい臓はインスリンを分泌する量が少なくなっていきます。すい臓に疾患があったり、疲弊していたりすると、生産性が悪く、食べた量に対して十分の量のインスリンがないために、細胞に入って行けるブドウ糖が限られてしまい、血糖値が上がったまま下がらない、という状態になってしまうのです。
一方、2)と3)の場合は、インスリンそのものは必要な量出ているのに、インスリン自体が元気がなかったり、インスリンを受け止める細胞側のインスリン受容体が元気がない場合です。
引用元-糖尿病発症までの仕組みを解説
インスリンとブドウ糖の関係
普通、インスリンとインスリン受容体が結合すると、細胞内にある、ブドウ糖輸送担体と呼ばれる物が、細胞膜上に移動して、ブドウ糖を細胞内に取り込むように働きかけるんです。インスリンとインスリン受容体が結合すると、そういう働きが起こるのです。しかし、結合しないと……
このブドウ糖輸送担体は、眠ったままで、ブドウ糖をいわば取り込みに行かないんです。だから、ブドウ糖はどんどん血液中に余ってしまい、結果として血糖値が高くなり、その状態がしばらく続くと、糖尿病になってしまうのです。インスリンとインスリン受容体の両方が元気になっていないと、駄目という訳ですね。どちらか片方が元気でも、片方が結合を拒否してしまえば、ブドウ糖は細胞に入って行けないんです。
引用元-糖尿病発症までの仕組みを解説
- 膵臓の機能低下によりインスリンの分泌量が低下している
- インスリン自体に問題があり、働きが悪い
- インスリン受容体の働きが悪いためにブドウ糖が処理されない
糖尿病にならないためには、血糖値を急激に上昇させないことが重要です。たとえば、糖質を多く含むものの摂取を減らすことで、ブドウ糖の量自体を減らすことができます。糖尿病を予防するためには、まず食事に気を配りましょう。
測定方法は?正常な血糖値の値とは?詳しく教えて!
血糖の値はどのように測定するのか?
前日の夕食後から絶食し、朝一番に空腹の状態で採取して、酵素法による自動分析器にかけて測定します。血糖値は採取する血液によっても異なります。医療機関で検査する場合は静脈血を使いますが、動脈や毛細血管での血糖値は静脈よりも10〜20mg/dl高くなります。
したがって、糖尿病の人が自己血糖管理に用いる簡易血糖測定器で血糖値を測る(血糖自己測定=SMBG)場合は、医療機関の数値よりも高値になることを頭に入れておきましょう。
基準値
・空腹時血糖…70〜109mg/dl
・食後2時間血糖…140mg/dl未満健康な人でも一日の血糖値は70〜130mg/dlの間を変動しており、食事の前と後では大きな差があります。食事をとると、炭水化物が吸収され、ブドウ糖となって血液中に出てくるので、食後の血糖値は食前よりも高くなります。
検査結果の判定
早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上、または食後血糖値が200mg/dl以上であれば、糖尿病の疑いが濃厚です。その場合はブドウ糖負荷試験(GTT)、併せて血中インスリン活性検査を行ないます。正常型・境界型・糖尿病型の判定を行ない、糖尿病型であれば、合併症の有無を調べるため、眼底検査や尿タンパク、神経の検査も受けます。
なお、日本人間ドックの判定基準では、空腹時血糖値が110〜115mg/dlは判定Cで、生活習慣の改善と定期検査の必要があり、116〜125mg/dlは判定D2で、ブドウ糖負荷試験のほか、HbA1c(グリコヘモグロビン)、グリコアルブミン、1.5AGなどの血液検査が必要とされています。
- 血糖値は血液によって測ることができる
- 食事による血糖値の変動は誰にでもおこるもの
- お腹が空いた状態で126mg/dl以上、食後で200mg/dl以上
健康診断などの人間ドックでは検査で糖尿病の疑いがあるとされる数値が実際の病気の人の数値よりも低く設定されている場合があります。これは、健康診断が病気の早期発見だけでなく、予防といった意味合いも込められているからなのかもしれません。
どのくらいの血糖値だと”糖尿病予備群”と判断される?
まず、糖尿病予備軍とはどういう状態ですか
「血液中のブドウ糖の値(血糖値)が、正常よりは高く、糖尿病と診断される値よりは低い状態です。具体的な日本糖尿病学会の診断基準では、空腹時の血糖値が110(mg/dl )未満で、ブドウ糖負荷試験という、糖液を飲んで2時間後の値が140未満だと正常型。空腹時が126以上、または糖負荷試験後が200以上だと糖尿病型と診断されます。そして、正常型にも糖尿病型にも属さないものを境界型といい、これが予備軍に当たります」
予備軍でも問題ですか
「最近の研究では、予備軍の中でも肥満があり、血圧や中性脂肪値も高いと、動脈硬化の進行が早まって、脳卒中や心臓病を起こしやすいとされています。ですから予備軍でも安心できませんね。また、自覚症状が全くないので、予備軍だと気づかずに過ごしてしまうと、数年以内に本当の糖尿病になる恐れがあります。そしてその時には、網膜症、腎症、神経障害などの合併症が起きている可能性があるため、予備軍から糖尿病にならない努力が必要です」
では、どうすれば進行を止められますか
「食事と運動、生活習慣の改善で予防できます。『フィンランド糖尿病予防研究』では、境界型の肥満者に、脂肪摂取量の減少、食物繊維を30g摂取、30分の運動という改善で、4年間での糖尿病発症率が半減しました。また、中国大慶市の『Da Qing 研究』でも、改善しない群での糖尿病発症率の約68%に対して、6年間の食事改善群で約44%、運動改善群は約41%、食事と運動改善群で約47%に減少しています」
- 血糖値が正常値にも異常値にも当てはまらない場合を境界型という
- 予備軍でもコレステロールなど他の値が高い場合には危険
- 脂肪の摂取を減らし、食物繊維の摂取を増やすと良い
- 運動と食事に気を付ける
糖尿病と診断されない場合にはついつい気を緩めてしまうかもしれません。ですが、予備軍に入っている場合には、治療は必要ないにしても日常生活は注意する必要があります。そうしないと、数年後には糖尿病を発症しているかもしれませんよ。
ポイントは上手く血糖値をコントロール出来るかどうか!糖尿病予防を
上手に食べることで糖尿病予防!
糖尿病の予防には、運動をしながら、炭水化物、カロリー(減量が必要な場合のみ:日本人は太っていなくてもBMIが23くらいから糖尿病やメタボのリスクが上がることが報告されています)の摂取量に注意し、インスリンの働きを改善することが大切です。ボーダーライン糖尿病とは、血糖値が高くなったり、低くなったりとうまくコントロールされていない状態。改善するための食べ方のポイントは以下の通りです。
食べ方のポイント
・炭水化物ばかりの食事は血糖値が上がりやすいので避ける (例:うどんといなり、ラーメンとチャーハン、カップラーメンとおにぎり)
・野菜、きのこ、わかめ類は食物繊維が豊富なので血糖のコントロールに役立ち、バランス面でも炭水化物の過剰摂取の予防にもつながる
・炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスがとれた食事をすると、血糖の上昇が緩やかになる
・食事を抜かずに三食きちんと食べると、血糖値の高低が緩やかになる
・白パンの代わりに雑穀パンを使うと血糖値の上昇が緩やかになる
・白米の代わりに、玄米、麦飯、五穀米などを使うと血糖の上昇が緩やかになる
・酢は血糖コントロールに役立つと言われているので、効率的に取り入れる
- 炭水化物の摂取量を減らす
- バランスよく栄養を摂取する
- 規則正しく食事をする
- 雑穀パンのほうが血糖値が上がりにくい
- 玄米や五穀米を食べる
- 酢を食べ物に含める
糖尿病を予防することで最も大切なのは血糖値を上げない食事を心がけることです。たとえば、食事をする際には野菜から摂取したほうが、ご飯類などから食べるよりも血糖値が上昇しにくいとされています。食事の仕方にも気を配ってみてくださいね。
運動をすることも必要!糖尿病予防は食事だけじゃない
運動を習慣化することで「インスリン抵抗性」を改善
基本的には食事療法と運動療法ですが、この二つの予防対策を毎日の生活の中で行えば糖尿病予備軍から糖尿病へ進行するのを防止する事が出来ます。
運動には、インスリンの効き目を悪くする「インスリン抵抗性」を改善する働きがあります。
この「インスリン抵抗性」を改善するのに最適な運動は、体に酸素を取り入れながらする運動の有酸素運動です。具体的な種目として、身近なウォーキング、ジョギングやサイクリング、水泳なども効果があります。有酸素運動は、運動が一定時間経過すると脂肪を燃焼するので、メタボリックシンドロームの改善にも有益なのです。
また、血糖値を下げる効果もあります。
筋力トレーニングが効果があります
また筋肉トレーニングでも筋肉の量を増やすことで脂肪の燃焼能力が向上し太りにくい体質になります。
筋肉の量が増えることで安静時であっても体の基礎代謝が向上するので消費エネルギーも増加します。筋肉トレーニングは呼吸が出来る程度の軽めの荷重で体に酸素を取り入れながら、ゆっくりと出来るスクワットやベンチプレスなどが効果的です。
無理して重たい荷重でトレーニングすると関節や骨、筋肉や腱などを痛めますので十分に注意しましょう。
普段の生活でも意識すれば、十分な有酸素運動が可能です。移動のときに車やエスカレータを使わずに階段を上り、徒歩や自転車を利用するなどがとても有効なのです。
- 食事を気を付けると同時に運動も行う
- 有酸素運動は血糖値を下げるのに効果的
- 筋力を増やすのも良い
糖尿病を予防するためには、食事を気を付けるだけでなく、運動を行なうことも大切です。運動を行なう時間がなければ、通勤や買い物を徒歩で行なうようにすることで、運動とまではいかないものの体を動かすことができます。