「七つの大罪」という言葉は知っているけれども、具体的に何かを説明できる人は少ないかもしれません。
ここでは「七つの大罪」について、どのような罪なのか、司る悪魔や象徴する動物についてまとめました。
また、「新・七つの大罪」「七つの社会的大罪」についても解説しています。
罪の名前について教えて!七つの大罪の起源とは!?
七つの大罪の起源
七つの大罪は、4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの著作に八つの「枢要罪」として現れたのが起源である。キリスト教の正典の中で七つの大罪について直接に言及されてはいない。
八つの枢要罪は厳しさの順序によると「暴食」、「色欲」、「強欲」、「憂鬱」、「憤怒」、「怠惰」、「虚飾」、「傲慢」である。
6世紀後半には、グレゴリウス1世により、八つから現在の七つに改正され、順序も現在の順序に仕上げられた。「虚飾」は「傲慢」に含まれ、「怠惰」と「憂鬱」は一つの大罪となり、「嫉妬」が追加された。
現代では
13世紀のトマス・アクィナスも、その著作の中で、キリスト教徒の七つの枢要徳と対比する形で七つの「枢要罪」をあげている。現代のカトリック教会のカテキズムでは、七つの罪源について、ヨハネス・カッシアヌスやグレゴリウス1世以来伝統的に罪の源とみなされてきたものとして簡潔に言及されている。
- 七つの大罪の起源は八つの「枢要罪」として現れたものであり、キリスト教聖典では直接言及されていない
- 6世紀後半にグレゴリウス1世が7つに改正し、順番が現在の順序となった
- 現代のカトリック教会のカテキズムで罪の源とされてきたものとして簡潔に述べられている
もともとはキリスト教の正式な教義ではなかったのですね。そして、その後現在の順序に制定されたわけですが、当初は暴食が一番罪深かったというのが面白いと思いました。ちなみにカテキズムとは教理の公式な説明のことです。
【どんな名前の悪魔】が司っているか解説!七つの大罪について…
伝統的な大罪とは
伝統的な七つの大罪とは以下のようなもの。
七つの大罪とは
1. 傲慢、ラテン語:superbia. 英語:pride, vanity. 司る悪魔はルシファーまたはベリアル。
2. 嫉妬、ラテン語:invidia. 英語:envy, jealousy. 司る悪魔はレヴィアタン(リヴァイアサン)。
3. 憤怒、ラテン語:ira. 英語:wrath, anger. 司る悪魔はサタン。
4. 怠惰、ラテン語:acedia. 英語:sloth, accidie, acedia. 司る悪魔はベルフェゴールまたはアスタロス。
5. 強欲、ラテン語:avaritia. 英語:avarice, covetousness, greed. 司る悪魔はマンモン(マモン)。
6. 暴食、ラテン語:gula. 英語:gluttony. 司る悪魔はベルゼブブ。
7. 色欲、ラテン語:luxuria. 英語:lust. 司る悪魔はアスモデウス。引用元-七つの大罪
「罪」とはいえ、罪そのものというわけではなく、人を犯罪に導く可能性のある欲望や感情という意味です。そして、それぞれ対応する悪魔がいます。欲望を分かりやすく擬人化したものととらえてよいでしょう。
悪魔の「意味」や「特徴」とは!?七つの大罪に対応するもの
ルシファーは「傲慢」
・傲慢の罪/ルシファー
ルシファーとは光をもたらす者という意味をもつ悪魔・堕天使のことを表しています。
また魔王サタンの堕落前の天使であり、堕天使長の長でもあります。・嫉妬の罪/レヴィアタン
旧約聖書に登場する海の悪魔として有名です。
神が天地創造の5日目に作り出した存在として、ヘビモスと二頭一対を成すとされています。
またレヴィアタンは、最強の生物とも記されています。・憤怒の罪/サタン
サタンはキリスト教・ユダヤ教では、神の敵対者とされ、イスラム教でも人間の敵対者とされています。
かつては神に仕える御使いだったが、神に反逆してからは「敵対者」として悪魔に変化したと言われてる。・怠惰の罪/ベルファゴール
ベルフェゴールは牛の尻尾にねじれた二本の角。顎には髭を生やした醜悪な姿とされる。
ベルフェゴールは「ペオル山の主神」を意味すると言われる。・強欲の罪/マモン
マモンとは一般的に富の悪霊として擬人化されたものと言われている。
また地獄の七大君主の一人ともされている。
この地獄の七大君主とは地獄の貴族の代表格とされ、地に堕ちた神の影、強壮な天使の一群のことを表しています。
「暴食」はベルゼブブ
・暴食の罪/ベルゼブブ
ベルゼブブとはヘブライ語で「ハエの王」を意味し、本来の名はバアル・ゼブル。
「気高き主」「高き館の主」という意味があります。
権力と邪悪さではサタンに次ぐと言われ、実力ではサタンをもしのぐとも言われる魔王である。・色欲の罪/アスモデウス
容姿は「牛」「人」「羊」の頭とガチョウの足、毒蛇の尻尾を持ち手には軍旗と槍を持ち、地獄の龍に跨り口から火を噴く。
元は智天使である堕天使。
アモイモン配下の東方の悪魔の首座であり、72の軍団を率いる序列32番の大いなる王とされる
- 傲慢の罪をつかさどっているのはルシファーであり、光をもたらす者という意味をもつ悪魔である
- 暴食の罪をつかさどっているのはベルゼブブであり、権力と邪悪さはサタンに次ぎ、実力はサタンをしのぐ魔王である
- 他にもそれぞれ司る悪魔がいる
たとえば「傲慢」ですが、自分と他人を比べて、自分が他人よりも優れていると思い込むことを言います。また、「暴食」は自分の健康、体型を考えることなく食事したり、人の目を気にしないでマナーを守らず汚く食べることをいいます。
象徴となる動物の名前があるの知ってる!?七つの大罪について!
象徴する動物がいる
七つの大罪にはそれぞれ大罪を示す動物がいます。
動物の例
【憤怒】
・龍(Dragon・ドラゴン)
・ユニコーン(Unicorn・ユニコーン)
・狼(Wolf・ウルフ)【嫉妬】
・蛇(Serpent・サーペント)
・犬(Dog・ドッグ)【強欲】
・狐(Fox・フォックス)
・針ネズミ(Needle rat・ニードルラット)【怠惰】
・熊(Grizzly・グリズリー)
・ロバ(Donkey・ドンキー)【色欲】
・山羊(Goat・ゴート)
・蠍(Scorpion・スコーピオン)【暴食】
・豚(Boar・ボア)
・蝿(Fly・フライ)【傲慢】
・獅子(Lion・ライオン)
・グリフォン(Gryphon・グリフォン、グリフィン)
・孔雀(Peafowl・ピーファル)と、二つほど虫が混じっておりますが、これがそれぞれのシンボルとなる動物(虫)です。
- 7つの大罪にはそれぞれ象徴する動物がいる
- たとえば憤怒を表すのは龍、ユニコーン、狼である
- 虫も二つほど混じっている
「七つの大罪」のキャラクターたちにトレードマークの刻印がありますが、それこそがそれぞれの罪を象徴する動物たちを刻印にしたものです。例えばメリオダスであればドラゴン、ディアンヌであれば蛇という具合ですね。
ガンディー提唱「七つの大罪の名前」は旧版!新しい「七つの大罪」新装版も発表
新装版「七つの大罪」
2008年、バチカンのローマ教皇庁より、「新・七つの大罪」が発表された。
発表の理由については、「従来の七つの大罪は個人主義的な側面があり、それとは異なる種類の罪もあるということを信者に伝え、理解させるため」とのこと。
内訳は以下の通り。1、Genetic modification(遺伝子を改造すること)
2、Carrying out experiments on humans(人体実験を行うこと)
3、Polluting the environment(環境を汚染すること)
4、Causing social injustice(社会的な不公正を行うこと)
5、Causing poverty(他人を貧困にすること)
6、Becoming obscenely wealthy(悪辣に金を得ること)
7、Taking drugs(薬物を濫用すること)
ガンディーの「七つの大罪」
インド独立の父として知られるマハトマ・ガンディーは、20世紀資本主義における「七つの社会的大罪」を提唱している。この語群はガンディーの慰霊碑にも刻まれている。
内訳は以下の通り。1、原則なき政治
2、道徳なき商業
3、労働なき富
4、人格なき教育
5、人間性なき科学
6、良心なき快楽
7、犠牲なき信仰
- 2008年には新・七つの大罪が発表された
- 「遺伝子を改造すること」「環境を汚染すること」などこれまでとは異なる種類の罪があることを理解させるためである
- ガンディーも7つの社会的大罪を提唱している
- 「原則なき政治」「道徳なき商業」等20世紀資本主義に即した大罪である
新装版「七つの大罪」については、これまでの七つの大罪の範疇に入らない、現代的な罪が挙げられています。ガンディーが提唱している七つの社会的大罪についても現代社会においてうなずけるものばかりですね。