アイデンティティの拡散は確立が困難な時に!青年期の重要性

アイデンティティが拡散せず確立させるのが青年期には必要!

自己アイデンティティの確立は青年期の成長に欠かせないものです。ですが、その拡散は、青年期だけでなく、誰にでも起こり得る問題です。

自己アイデンティティが拡散するとどういった問題が起こるのでしょうか。

自己アイデンティティが拡散する原因や自己アイデンティティの4つの側面、親の役割についてまとめました。

確立が困難な時に起こりやすくなっている!アイデンティティの拡散について

自己アイデンティティの確立とは

20世紀後半までは『自己アイデンティティの確立』は、学校を卒業して就職したり結婚したりすることで半ば自動的に確立できるものと考えられており、自己アイデンティティとは年齢に応じた『社会的属性(職業意識・企業の所属)』『婚姻・家族形成』によって規定されるものであった。

この事情は、現代でも大きく変わったわけではなく、社会的な役割行動や職業意識、属性によって規定される連続的な自己定義のことを『社会的アイデンティティ』と呼ぶこともある。

就職して会社員や公務員などのサラリーマンとしての職業意識を持ったり、結婚して夫・妻や父親・母親としての自意識を持つことで、社会適応的な安定した『自己アイデンティティ』を確立しやすくなる。

自己アイデンティティの確立が困難?

しかし、現代の先進国では『高学歴化・不決断なモラトリアムの遷延・ジェンダーフリー・未婚化晩婚化・フリーター化・ニート・不況による雇用減』などさまざまな要因によって、かつてのスタンダードな自己アイデンティティの確立が困難になっており、『自己アイデンティティの拡散』が起こりやすくなっている。
引用元-【自己同一性(自己アイデンティティ)の確立とアイデンティティ拡散の要因】: Keyword Project+Psychology:心理学事典のブログ

  • 自己アイデンティティとは成長に応じて確立されていくもの
  • 自己アイデンティティは社会的アイデンティティと言いかえられる
  • 仕事をしたり、家族を築くことで自己アイデンティティは確立される
  • 近年、自己アイデンティティが確立できない場合が増えている

社会生活に柔軟に適応できる自分らしさを持とう

自己アイデンティティとは、社会生活に柔軟に適応できる「自分らしさ」と言い換えられるかもしれません。近年では、「自分らしさ」という言葉が独り歩きして、社会生活に適応できない人が増えているのが残念ですね。

拡散や混乱は避けるように!青年期におけるアイデンティティの確立の重要性とは

青年期とは?

青年期は、時期的には13歳くらいから21歳くらいまでで、エリクソンが提唱した、人の心理社会的発達における8つの発達段階のうち、第5段階になります。この時期に対応する2つの心理的側面は「同一性」と、それと対の関係をなす「同一性拡散」となっています。

青年期の始まりは第二次性徴とも重なり、男性なら男性らしい、女性なら女性らしい肉体にはっきり変化していく時期。この時期、自分は他人の目にどう映っているのか、あるいは他人から、いったいどう思われているのかが気になりやすく、青年期は自分という、この世の存在をはっきり意識し始める時期。

青年期に自己アイデンティティを確立しよう

この青年期における最大の発達課題はエリクソンによれば、自分というアイデンティティの基盤をしっかり固める事。もしも、この時期、何らかのつまずきのため、アイデンティティの基盤がしっかり形成されなければ、エリクソンによれば、自分はいったい何者なのかというアイデンティティの混乱から精神的に不安定になってしまい、場合によっては、心の葛藤が深刻化して、心の病気につながってしまう可能性もあります。
引用元-青年期特有のアイデンティティの危機への対処法 【メンタルヘルス】 All About

  • 青年期は13歳から21歳までのことを指す
  • 第二次成長に伴い、他人と自分の違いを意識する
  • 青年期には自己アイデンティティの確立が大切
  • 自己アイデンティティが確立していれば、心の病を防げる

多くの変化を経験する青年期はアイデンティティの確立に最も大切な時期

13歳から21歳と言えば、いわゆる思春期から大人への成長過程。体や心の変化、環境の変化など、多くの変化を経験する時期です。過ぎて見ればあっという間だった青年期ですが、実はアイデンティティの確立という最も大切な時期だったんですね。

どういうことを引き起こす?アイデンティティが確立せず拡散する場合

他人にも影響する自己アイデンティティの拡散

後期青年期のモラトリアムによって自我同一性症候群が引き起こされるかもしれません。その症状は自意識過剰・職業選択や心理的及び社会的自己定義を適切に行えない・周囲が良いと思っているものに嫌悪感を示すといったことが挙げられます。

その他に相手に依存し過ぎる、もしくは孤立してしまうといった適切な対人関係を築けない・社会に対して強く絶望したり自分を認められない・何かに真面目に取り組むことが困難になることもあります。引きこもりや不登校、ニートとも関係があるのではと考えられています。

また、「どの様な進路や職業を選ぶのか」「本当の自分とは」といった問いや選択に混乱し、激しい葛藤状態になってしまう同一性危機と言われるものが起きることもあります。

大人になっても自己アイデンティティの拡散は起こる

社会的な役割や責任を引き受けてから自己意識が安定するまで不安や葛藤が強まり、ストレスの度合いが強まりやすいとも言われています。

これは人によって程度に違いはありますが誰もが経験しなければならないもので、いったん形成された自我同一性が何かしらの事情で揺らいでしまうと中年期以降にも現れる可能性があるとも言われています。
引用元-自我同一性について知りたい!自分のことを分かっていますか?|WELQ 【ウェルク】

  • 周りが良いと思うことに嫌悪感を感じたら要注意
  • 自己アイデンティティが拡散すると良好な対人関係を築けない
  • 難しい決定を迫られたときに同一性危機が生じる
  • 仕事など社会的立場が自己アイデンティティの拡散をもたらす
  • 大人になっても自己アイデンティティの拡散は起こり得る

大きなストレスにより大人になっても自己アイデンティティは拡散する

自己アイデンティティの拡散は青年期が終われば心配いらないという訳ではないのですね。これからも、大きなストレスにより起こり得るということなので注意したいです。また、家族にも起こらないように注意してあげたいと思います。

親の役割について。アイデンティティが確立しないと大きな影響を及ぼす?!

アイデンティティの確立は重要な成長過程

アイデンティティの確立はどのように生きるかを意味し、就職や結婚、宗教などについての選択に大きな影響を及ぼします。

だからこそ青年期によるアイデンティティの確立は人間の発達に重要な課題なのです。

青年期には先ほど紹介したような様々な問題について悩んだり、選択を迫られたりします。

またこうでありたいという「理想自己」と、あるがままの「現実自己」とのギャップに悩む事もあります。

そうした経験を積み重ねる事で次第にアイデンティティは確立されていくのです。

しかし現代ではアイデンティティが確立されないまま大人になる青年も増えていて精神発達上の弊害にもなっています。

自己アイデンティティは環境により変化する

またアイデンティティは青年期に一応確立されますが、一生変わらない訳ではありません。

積み重ねられる経験や私を取り巻く環境の変化でアイデンティティも変わってきます。

しかし青年期の時期の発達は非常に重要です。

青年期のアイデンティティの確立と定義、発達段階を理解し、親は上手くサポートしてあげる必要があります。
引用元-青年期のアイデンティティの確立の重要性と定義、発達段階 | 自然療法の世界〜健康、美容、長寿を全て入手する法則

  • 自己アイデンティティは将来の決定を左右する
  • 理想と現実の違いに悩むことでもアイデンティティは確立されていく
  • アイデンティティが確立されないと精神的に不安定になる
  • アイデンティティは青年期にある程度、確立される
  • 環境の変化によってアイデンティティも変化していく
  • アイデンティティの確立には親のサポートが大切

状況に合わせて考え方を変えよう

自己アイデンティティは常に変化していくもの。環境や状況に合わせて柔軟に考え方や見方を変えることも、自己アイデンティティが拡散しないためには必要なことなのかもしれませんね。

4つの側面から構成される!アイデンティティについて

アイデンティティの4つの側面とは?

アイデンティティは4つの側面から構成されているとされています。

その4つの側面とは…

  • 自己斉一性・連続性
  • 対自的同一性
  • 対他的同一性
  • 心理社会的同一性

この4つの側面のことを言います。

アイデンティティは自分が自分であること

自己斉一性・連続性とは,自分が自分であるという一貫性を持ち,時間的に連続しているという感覚を持つことをいいます。

対自的同一性とは,自分が何をしたいか,自分がどこに向かっているかがわかっているという感覚をもつことをいいます。

対他的同一性とは,他者から見られている自分と,自分が思っている自分とが一致しているという感覚をもつことをいいます。

心理社会的同一性とは,自分と社会との適応的な結びつきがあるという感覚をもつことをいいます。

これら4つのアイデンティティの感覚をもつことで,個人のアイデンティティ,つまり「自分が自分であるという感覚」が確立されていくことになるとされているのです。
引用元-心理学におけるアイデンティティとは!?|その意味をわかりやすく解説 | PsychJapan -心理についての面白くて深い話-

  • アイデンティティには4つの側面がある
  • 自己斉一性・連続性とは一貫したものの考え方
  • 対自的同一性とは自分の欲求を的確に理解すること
  • 対他的同一性とは他者から見た自分と自分自身が考える人物像の一致
  • 心理社会的同一性とは社会との関わり

自己アイデンティティは社会とのつながりの中で形作られる

自己のアイデンティティを確立するためには社会や他者との関りが大切だということがわかりました。自己のアイデンティティとは、独りよがりなものではなく、周りとの関わりや協調性によって形作られていくものなんですね。

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